大雪山で自然観察員のレンジャーをしていた頃。厳冬期のその日は天気も悪く、誰も山に登ろうという人はいなかった。天気予報もよくはない。けれど、きっと晴れているという思いが消えなくて自分ひとりで山頂を目指した。本当は晴れていて欲しいと願っているだけ。もしかしたらダメかもしれないと思いながらも、引き返せなかった。そういう日がある。レンジャーとして接し、慣れきってしまった風景なのに「呼ばれる」としか言いようのない引力に捕らえられることがある。その引力の先にあったのは一面の雲。十勝岳と美瑛岳がちょこんと頭を出しているだけ。あとは見渡す限り、まさに雲の海。誰もいない、自分だけの風景に歓喜の声が止まらなかった。
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