
天人峡にある「神様の樹」は樹齢900年を超える桂の樹だ。その樹の前に立ったときには、撮りたいイメージは固まっていた。11月の中旬。明け方気づくと、しんしんと雪が降っている。次の瞬間には何かに急き立てられるように機材を用意し、夢中でクルマを走らせていた。あたりは重い雪が降り積もるバサバサという音、この冬初めての本格的な雪の重さに耐えきれず折れていく枝の音で賑やかだ。さまざまな音の中、静かにたたずむ樹を写し取る。あたりは雪景色。けれど、この樹の幹にはまだ雪がない。ここに立ってやっと、これから始まる長い冬を告げるかのようなこの景色を撮りたかったのだと理解する。自分の中で迷いのないもの。それがいちばん力強いと知らされた。
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